30minute

で書く適当

幸福と不幸

アジアなら通じます。

実際問題として色々なことが起こるわけで、だから面白い。
いかな理不尽なことでもそれを見たり感じたり聞いたりすれば、
必ずリアクションをしなければならないし、それが自然というものだ。


ただし、そのリアクションのそのまたリアクションもあるわけで、
当然考えてなんかいられない。
せいぜい二、三歩くらい先を読めばいいところじゃないか。


旅行の方法のことである。


旅の目的などという崇高なものを一切排除したときにこそ、初体験することが新鮮に思える。
それは僕の場合一ヶ所に留まることで、より純化していく。


数年前にこんなことがあった。


インドへ渡るために友人とタイで待ち合わせた。
無事合流も成せ、初日だからゆっくりしようかと当時バンドをやっていた僕は小さな太鼓を、
友人は日本から持ってきたギターでもって公園で適当に遊ぶことにした。


すると日本人が見世物をやっているのが珍しかったのか、
結構な見物人が集まってきた。


とりわけタマサート大学の学生だと自称する十人ほどの集団はノリもよく、
適当にいい気持ちになるまで僕等に酒を飲ませてくれた。


やがて日も沈み、彼等のリクエスト(北国の春やいい日旅立ちなど“大陸系”の匂いがする曲が多かったな)
にも応えられなくなり、ジャムってんのも飽きてきたので一緒に飲み屋に直行した。


大き目の屋台をほぼ貸し切り状態で騒ぐだけ騒ぎ、
切り上げるかと会計を聞いたところ総額が日本円で1万ほど。


「初日にこんな面白くなるとは思わなかった。だから奢るよ」


日本人旅行者としてはあまりにも隙のありすぎるセリフを吐いた途端、
彼等はなぜか泣きながら僕に抱きついてきた。


つづきはまた。