全身の傷
今日、友人の店に遊びに行ったときに全身傷だらけの男がいた。
ただの傷だらけならば何の問題もない。
なぜそんな状態になったのかという話を、面白おかしく聞くだけだ。
ところが彼は頭も少々イカれてしまったらしい。
どうやら生死の境をさまようほどの事故だったのだとか。
支離滅裂な話の羅列は面白くもあったけれど、同時に辛くもあった。
彼は一人で来訪したわけではなく、友人と連れ立って来ていた。
ほとんどの動作を通常とは違う道筋で遂行していく彼。
そしてそれを見守る友人。
完成されたコンビ芸のように成長していってくれることを願って止まない。