30minute

で書く適当

偽とか政局とかエロとか

死ぬなよ小栗……

夢の話は嫌われる。
そういわれて久しいけれど、知ってる奴は意外と聞いてくれるもんである。

最近、友人が死んだ。
高校生の頃からだから適当に換算しても15年以上の付き合いで、
一時期疎遠になっていたけれど、ここ数年は他にも同じような感じで何人かの友人とともに、
年に数回顔を合わせちゃバカなことを話していた。


俺も、そいつも、そいつらも、

「こりゃ一生の付き合いになるだろうな」

と思っていた。だろう。きっと。


けれど先日、そいつは死んでしまった。
前から薄っすらとは聞いていたけれど、睡眠薬を常用していたらしい。しかも酒豪、つーか毎晩呑んじゃバタンキューみたいな奴だった。


直接の死因は、そんなこんなが招いた末の、吐いた物が喉に詰まって逝ってしまったらしい。


首吊り自殺をすると顔が鬱血して目が飛び出し、舌を突き出した状態になるという。
恐らくそんな死に顔だったんだろう、挨拶がしたいと申し出た、
葬式に行った俺ら古い友人にも棺の蓋から見える大判の写真の下は見ることは出来なかった。


そんなことがあって、とりあえず俺はある部分が抜け殻になった。
現実世界に生きてはいるんだけれど、何とかやり過ごしてはいるんだけれど、
そいつは死んで現実には存在しなくなった。


毎日時間が過ぎ、時間が埋めてくれるといいな、と考えていたら昨晩こんな夢を見た。


俺はそいつの住んでいるマンションの部屋の玄関にいた。
何でかって?


もちろんそいつが死ぬのを防ぐために。


玄関の前でやきもきしながらエレベーターが昇ってくるのを待った。
感覚的には午前一時過ぎだろうか、エレベーターが上がってくる。


エレベーターは俺のいる階で「チン」とベルを鳴らす。
グォンと音を立てて扉が開き、死んだはずのあいつと俺の目が合った。


「おい、玄関を開けるなよ。お前死んじゃうんだぜ」
「うるさいなー。眠いんだけど?」


なぜか俺の言うことには耳を貸さない。
どうしてなんだ?死ぬんだぞ?遣り残したことは無いのか?


あせる俺を横目にあいつはすばやく玄関から向こうの漆黒の闇に消えた。
俺は玄関前でしゃがみ、土下座のような姿勢で


「なんでだよー!!」


と泣き喚いた。そして目が覚めた。
目脂のせいでバリバリと音を鳴らしながら開いた俺には満足感があった。


闇にあいつが消えるとき、こう言った。


「このことを書くぞ。いいだろ?」


見開いたような瞳が魅力的だったあいつは闇の向こうに消える間際、
俺に視線を合わせてニヤリと笑った。


おはよう。
今日も一日が始まる。


おまえはいないかもしれないけど、何とかなるような気がするんだよ。
夢の話も何とか人に話せるような気がするんだよ。