明日からイヤでも監視される生活が始まる
築年数の古いマンションなので数十年に一回、水回りの配管を交換するメンテナンスが必要なんだそうだ。何のタイミングか数十年の一回にあたってしまい、各階、各部屋番号をブロック化して作業が進められている。そして巡り巡っていよいよ明日から我が家でも配管の交換工事が始まるのだ。
問題なのはその工事内容。「部屋内の水回りの配管を交換する」という。
屋内全ての水回り、というのは風呂、トイレ、台所の3箇所。その場所をブルーシートで覆い、朝8時半から夕方5時まで、コレを土日挟んで延べ1週間。すべての時間が家の中の作業に費やされる。工事内容は「配管の交換」となっているけれどキュッポンキュ、みたいに外して嵌めてハイ終了。そんな簡単なもんじゃない。壁に埋め込まれているモノだから当然風呂トイレ台所の壁は大いに破壊され、配管は巨大なセーバーソーで切り取られる。
当然、とんでもない音がする。作業する彼らとしては仕事だから仕方ないだろうけれど、この工事には個人的にものすごく苦手な縛りがある。それは「作業中は常時在宅していなければならない」ってことだ。
2LDKとさほど広くない我が家の水回り周辺がブルーシートで覆われ、その中からマンション中に響き渡る大音量を間近で聞かされながら1週間過ごさなければならないのだ。
タイトルのように実際に「監視」されるわけじゃないにしても俺が家でなにをやっているのか、作業している彼らには手に取るように分かることだろう。
もとより他の階層、部屋で同様の作業をしていたのでどのくらいの音量が出るのかは知っている。そしてその間、睡眠時間は大幅に削られ、読書もままならなかった経験もある。
旅行は別としても一人で生活している期間が長いだけに、他人が家に(仕事だとわかってはいても)長時間、長期間入り込み折に触れて俺の生活は彼らの目にさらされる。
自意識過剰ならいいんだけど。
当たり前だけど断ることなんて出来るはずもなく、やっぱり明日の朝、作業員は玄関をノックするんだろう。
あの騒音の中、出かけられないってのはホントにキツイ。どうやって過ごそう。
いっそのこと作業を手伝うことで時間を潰すことが出来やしないだろうか。
工事が終わって唯一の喜びは、きっと補修されて真新しくなった壁を見ることなんだろう。
それにしてもスゲー自分勝手な言い分だよな俺。