30minute

で書く適当

すんごい熱い

足が。
正確に言うと足の裏がたまらなく熱い。

小学生の頃、夏の真っ最中のクソ赤い夕焼けを見ながら父親がドアノブを回す音を聞いていた。
脂肪のついた胴回りは畳に寝転ぶとウォータベッドのようにゆっさりと揺れた。
寝返りを打つ様はまるでアザラシのようだった。
干し肉にでもすれば、きっと鯨肉にも負けず劣らずの珍味になっただろう。


父親は帰宅してすぐに小学生だった俺に「上に乗れ」と命ずるのだった。
最初に乗るのは決まって背中からだった。
丸太の上に板を敷き、その上に乗っているよな、不安定な足場だった。
棚や箪笥の間にしか寝そべる隙間がなかったから、自然不安定になればそこかしこを掴むことになる。そうして家具には定位置がはっきりと擦り剥けて印されていた。


背中、腰、ふくらはぎ、足の裏と順繰りに体重をかけて乗っていく。
父親はそのうちに眠ってしまうのが常だった。
夢でもみているのだろう。時折、暴力的な寝言を喚いていたのを今でもはっきりと覚えている。


父親の足の裏は熱く、俺を裏切って金輪際会うこともないだろうと考えている今も、その記憶だけが強烈に蘇ってくる。


もうすぐ花火大会が始まる。